GRPN は X ウィンドウ上で動作するグラフィカルな
RPN (reverse polish notation: 逆ポーランド記法) 計算器です。
GRPN は、実数だけでなく複素数や行列の計算もでき、
複素数は極形式の表示もできます。
スタックはメモリーのある限り使えます。
コマンドはマウスの他、キーボードでも入力できます
(複素数や行列の入力はキーボードでおこないます)。
作者: Paul Wilkins さん
ホームページ:
http://lashwhip.com/grpn.html
バージョン: 1.1.1 (2000/05/03)
ライセンス: GPL
付属ドキュメント README を読む
インストールすると MLD 5,6 では
「プログラム」→「アプリケーション」にメニューが追加されます。
ターミナル・エミュレータからの起動は
$ grpn
とします。
RPN (逆ポーランド記法) は演算子後置記法 (postfix notation) ともいわれ、いわゆる「数式通り」ではないため敬遠する人も多いようです。
通常の数式の書き方は挿入記法 (infix notation) といいます。 ポーランド人の論理学者 Lukasiewicz (1878-1956) が演算子を前に置く記法 (prefix notation) を考案し「ポーランド記法」と呼ばれましたが、 それを逆にして演算子を後ろに置くのが「逆ポーランド記法」です。
通常の書き方の
2 + 3
は RPN では
2 3 +
となります。日本語で 「2 に 3 を足す」と読めば分かりやすいでしょう (日本語は RPN ?!)。
RPN は括弧がいらないのが特徴です。例えば
(2 + 3)/(4 - 1)
は RPN では
2 3 + 4 1 - /
となります。「2 に 3 を足し、4 から 1 を引いたもので割る」ということです。
sin などの関数も後ろに付きます。sin(π/3)
は
pi 3 / sin
とします。
GRPN は、入力はキーボードから行なうのが基本で、
よく使うコマンドにはグラフィカルなボタンも
用意されていると考えたほうがいいでしょう。
X Window System のセレクションを使った cut & paste もできます。
これは使いなれると大変便利です。
コマンドの一覧はメニューの Help で参照できます
(pi
、sin
などはボタンでは Pi
、
Sin
となっていますが、キーボードから入力するときは小文字です)。
入力の区切りはスペースでも Enter でも構いません。 また続いて演算子を入力する場合は区切りを省略できます。
File メニューの Options では、基数に Bin, Oct, Dec, Hex が、角度に Degree, Radian が選択できます。また複素数の表示に極形式が選べます。 Display Mode の Short は、複素数、行列を一行で表示 (ただしスタックトップを除く) するものです。
基数の選択はコマンド (bin/oct/dec/hex) でもできます。
Hex モードのとき、Dec モードに戻そうとして
dec
と入力しても 16進数 0xdec と解釈されてしまいます。このようなときは
'dec
と前にシングルクォートまたはダブルクォートを付けて入力します。
複素数 1.1 - 2.2i を入力するには
1.1 2.2 neg complex
と入力します
("neg
" はボタンでは「+/-」です。
"complex
" はボタンがありません)。
表示は
(1.1, -2.2)
となります。
exp(π/4
i)
の計算
0 pi 4 / complex exp
は
(0.707106781186548, 0.707106781186547)
となります (ウィンドウの幅が狭い場合は2行で表示されます)。
-1 の平方根を計算すると (6.12303176911189e-17, 1)
になるのは御愛敬という気もしますが、
i の2乗 (sqr) がピッタリ -1 にならない
(i×i は -1 になります)
ところをみると sqrt も sqr も pow も内部的には同じに扱っているようです。
3 × 2 の行列
1 2 3 4 5 6
を入力するには
1 2 3 4 5 6 3 2 matrix
と入力します。行列に対しては加減乗算ができます。 行列の 1/x はまだできないようです。
コマンド undo
は 10 回前までの操作を取り消すことができます。
LinuxMLD 5,6,7 用の RPM
grpn-1.1.1-1_mlb1.i386.rpm (44,995 bytes)
をインストールします。
rpm コマンドでインストールするには
# rpm -i grpn-1.1.1-1_mlb1.i386.rpm
とします。
MLD 5,6 では
Gnome の GUI でインストールすることもできます。
MLD 7 では上記 RPM をインストールしただけではメニューに追加されませんが /etc/X11/applnk/Applications/grpn.desktop を /etc/X11/applnk/Utilities/ に移動させると 「アクセサリ」→「他のアクセサリ」に「GRPN」が出てきます。
RPN は HP の電卓 (HP は「ホームページ」ではなく、ヒューレット・パッカードです) の電卓に採用されている(いた)ことで有名で、熱烈なファンの方がいるようです。 そんな人 (多分…) の Web ページを御紹介します。
HP の電卓のマニアのようです。HP非公認私設応援団とか。 「What's RPN?」というページがあります。
X Window System に標準で付いている
xcalc は、xcalc -rpn
として起動すると RPN 電卓
(HP-10C のエミュレータ) になります。
通常の記法による科学技術向き電卓アプリケーション
その他、bc のページ も参考にしてください。