QCad はシンプルな操作でプロ並みの図面が描ける 2D CAD システムです。 多くの CAD で使われている DXF ファイル形式で読み込み、保存できます。 HP-GL の読み込み、EPS の出力も可能です。
(右図をクリックすると大きく表示します。)
作者: Andrew Mustun さん (RibbonSoft) 他
ホームページ:
http://www.ribbonsoft.com/qcad.html
バージョン: 1.5.4 (2002/09/21)
ライセンス: GPL
付属ドキュメント User Manual を読む
日本語 User Manual は 小林義宗さんが翻訳、公開されています。
QCad は名前からも想像できるように、Qt ライブラリを利用しています。 LinuxMLD 7 では Qt3 によるバージョン 1.5.x が動作します。 MLD 6 では Qt2 によるバージョン 1.4.x が動作します。
2003/9/21 に QCad 2 が公開されました。
GPL かつオープンソースであることは変わりませんが、
RibbonSoft 社が 24 USドルで販売するという形態になったことが注目されます。
QCad 2 は多くの新機能が追加されていますが、一部はまだ
作業中
のようで、
また公開以来かなり短いサイクルでアップデートが行われており、
安定にはいま少し時間が必要のようです。
インストールすると
MLD 7
ではメニューの「グラフィックス」→「他のグラフィックアプリケーション」に
QCad が追加されます。
MLD 6 では「プログラム」→「グラフィックス」に追加されます。
ターミナル・エミュレータからは
$ qcad
で起動します。
最初に起動したときは Welcome 画面が現れます。使用する言語と単位 (ミリ、インチなど) を設定します。
MLD 7 (Qt3) では言語に Japanese を選択すると文字セットは自動選択されますが、
MLD 6 (Qt2) で Japanese を選択するとメニューが文字化けしてしまいます。
MLD 6 で言語を日本語にするには、最初は English を選択して起動し、
Options メニューの General Preferences で Language を Japanese に、
Appearance の Font Charset を Set-Ja にして再起動してください。
なお、MLD 7 ではフォントサイズを 10 にした方がバランスが良いようです。
QCad で描くことができるもの (オブジェクト) は、
基本的に点と線だけです。テキストも実際には線で描かれます。
線の幅や色は指定できますが、図形を塗りつぶしたりはできません
(ハッチングはできます)。
QCad 2 では solid fill もできるようです。
QCad の操作はほとんどマウスだけで行なうことができます。 左に並んでいるボタンメニュ−は階層になっていて、左ボタンで選択します。 位置決めも左ボタンで行ない、右ボタンは「戻る」意味になっています。 中ボタンは使いません。 またドラッグ操作もありません (代わりに “クリック−移動−クリック” を使います) から極めてシンプルです。 逆に言うと、操作モードの階層を理解しないと 何をしているのか分からなくなるかもしれません。
では直線を描いてみましょう。メニュ−の一番上、右側のボタンをクリックします。
すると、「描き方」を選択するメニュ−に変わります。
直線の描き方には、始点・終点 (次の点) を順に指定する2点線、 角度をキ−ボ−ドから指定する角度線、水平線と垂直線、四角、 すでに存在する線分に対しての平行線 (距離はキ−ボ−ドから指定)、 角の2等分線、接線、直交線など、機械系 CAD ならではの色々な描き方があります。
とりあえず、左上の「2点線」をクリックします。再びメニュ−が変わって、
今度は「点」を指定する方法の選択メニュ−になります。
このとき画面下にはマウスのガイドと現在のモ−ドが表示されます。
左下にはカ−ソル位置の座標も表示されます。
ここでマウスの右ボタンをクリックすれば元に戻ります。
「点」の指定は、自由に指定する以外に、格子点 (グリッド) に限定
(スナップ) したり、既存の線の端点や中心点にスナップしたりできます。
座標をキ−ボ−ドから入力することもできます。
最初の状態は「自由指定」になっていますが、ここでの選択は以降の
「点」を指定する操作全てに残りますから、注意してください。
自由指定 (スナップ無し) の場合はまず始点を左ボタンでクリックし、
マウスポインタを移動させて次の点で再度クリックします。
次々クリックして行けば折れ線を描くことができます。
右ボタンをクリックすると直前にクリックした点が終点になります。
スナップがある場合は、対象となる点の近くにマウスポインタを移動させると 対象点に赤丸が出ますからその状態で左ボタンをクリックします。 赤丸が出ていない場合にクリックしても何も起きません。
描いたオブジェクトを移動したり、コピ−したり、修正するのは、 最初のボタンメニュ−の状態に戻って (右ボタンを何回かクリックすれば戻ります) 最下段右の「EDIT」ボタンをクリックします。これも「やり方」がたくさんあります。
単純なコピ− (または移動) は一番上左のボタンです。クリックすると EDIT 対象の選択方法のメニュ−に変わります。
デフォルトでは左側上から2番目の「ひとつの要素を(非)選択」になっています。
マウスカ−ソルを任意のオブジェクトに近づけて左ボタンでクリックすると
そのオブジェクトが選択 (または非選択) になります。選択オブジェクトがある状態で
一番下の「実行」ボタンをクリックします。次に「参照点」を指定します。
「参照点」は、実際に移動したりコピ−する操作のときオブジェクトを『つかむ』
位置になります。
参照点を決めると、選択されていたオブジェクトがマウスに付いて動かせるようになります。そこで目標の位置でクリックすると次のようなダイアログが出ます。
「n=0」では移動になり、「n=1」ではコピーになります。
「n>1」は、指定した回数のコピーが一度に行なわれます。
画面の上部には次のようなアイコンが並んでいます。
中程にある「切り取り」「コピー」の操作も同様に
まずアイコンをクリックし、
オブジェクトの選択、「実行ボタン」、参照点、の順で行ないます。
「張り付け」では目標点を指定することになります。
「編集」メニューの「元に戻す」「やり直す」は 200 回以上可能なようです。
複雑な図形を描くときは「レイヤー」の概念が重要です。その他詳しくは 付属のマニュアルを参照してください。
マニュアルは HTML 形式で用意されていて、「ヘルプ」メニュ−から
内蔵のブラウザで読むことができます。man page はありません。
LinuxMLD 7
では
qcad-1.5.4-1_mlb1.i386.rpm (2,678,314 bytes)
をインストールします。
rpm コマンドでインストールするにはスーパーユーザになって
# rpm -i qcad-1.5.4-1_mlb1.i386.rpm
とします。
MLD 6 では
qcad-1.4.16-1_mlb1.i386.rpm (2,290,859 bytes)
をインストールしてください。
MLD 6 では
Gnome の GUI でインストールすることもできます。
MLD 5 の方は、Sourceforge の QCad download のページ から qcad-1.4.16-i386-setup.tar.gz を入手してください。 これは static link したバイナリーなので Qt のバージョンに関係なく動作します。 残念ながらバージョン 1.5.x の static link 版は配布されていません。
/usr/share/qcad/messages/qcad_jp.qm
と入れ替えると
このページ先頭の図のようなメニューバーになります。
qcad_jp.qm
のソース (文字コードは UTF-8) が必要な方は
qcad_jp.po.gz を get してください。
サンプルファイルは /usr/share/qcad/examples/
にあります。
このディレクトリにある
ReadMe_Ja_Font.dxf
は、小林さんが QCad 用に作成された日本語フォントのサンプルになっています。
オリジナル配布に入っている ReadMe_Ja_Font.dxf は文字コードが Shift-JIS になっていて、MLD のデフォルトである LANG=ja_JP.eucJP の環境では表示できませんので、上記 RPM では文字コードを EUC-JP に変換して納めています。
MLD 7 の Wnn7 + xwnmo では Qt のテキスト入力との相性が悪いのか、 日本語の入力がまともにできません (On the spot が良くないらしい)。 Canna + kinput2 では正しく入力できます。
小林さんはその後、アウトライン化した日本語フォントを作っておられます。 小林さんのホームページから入手できます。
Web 上の参考になるページを御紹介します。
QCad の日本語版マニュアル、 日本語フォントデータなどを作成しておられる 小林義宗さんのページです。
電気工事や建築の図面の例がいろいろ紹介されています。 QCad 1.5.2 以降のライブラリに含まれている electrical/denzuq は grossa さんが作られたものです。
類似アプリケーション
これまでも Windows 版 とともに Vector に登録 されていましたが Linux 版が SourceForge.jp で公開されました。