Gri は科学向きグラフ作成のためのプログラミング言語です。 生成したグラフは PostScript ファイルとして出力します。 GUI を持ちませんが、習熟につれ高度な使い方が可能で、ある意味で TeX に似ています。
(右図は Gri で生成した PS を gv で表示したものです。 クリックすると大きく表示します。)
作者:
Dan E. Kelley さん
ホームページ:
http://gri.sourceforge.net/
バージョン: 2.12.4 (2003/04/10)
ライセンス: GPL
README を読む
付属ドキュメント(html マニュアル)を読む
作者の Kelley さんの専門は海洋学 (Oceanography) のようで、Gri
は様々に分布するデータのプロットが得意です
(Contour 以外の 3D 表示は扱えません)。
一般のデータプロットツールとしても PS で美しい出力が得られるのが特徴です。
上記ホームページから閲覧できる
A Cookbook of Gri Recipes
ではいろいろな実用例を見ることができます。
インストールしたら、ターミナルから単に gri とすると対話モードで起動します。
$ gri gri - scientific graphic program (version 2.12.4) GPL Copyright 2002 by Dan E. Kelley. Type `help' for an overview of Gri commands, or see the full manual at /usr/share/doc/gri-2.12.4/html/index.html and its text-only version in the 'gri' INFO node. Visit http://gri.sourceforge.net for updates and resources. gri:
これでコマンドを入力していけば PS ファイルができます。 終了は quit です。
サンプルが /usr/share/doc/gri-2.12.4/examples/
にありますから、それを見てみましょう。
新しいディレクトリを作ってそこに移動し、サンプルをコピーします。
一番簡単そうな example1.gri
をやってみましょうか。
$ cp /usr/share/doc/gri-2.12.4/examples/example*.{gri,dat} . $ gri example1.gri
カレントディレクトリに example1.ps
ができます。/usr/share/doc/gri-2.12.4/examples/example1.ps
と同じグラフになっているはずです。
$ gv example1.ps
これで下のように表示されます (MLD 6,7 では gv は標準インストールされないので、追加インストールします)。
example1.gri
には次のように記述されています。
# Example 1 -- Linegraph using data in a separate file open example1.dat # Open the data file read columns x y # Read (x,y) draw curve # Draw data curve draw title "Example 1" # A title for plot
プロットされたデータは example1.dat
です。
付属ドキュメントの
2: Simple example
の解説も参考にしてください。
0.05 12.5 // first point 0.25 19 // second point 0.5 15 // third point 0.75 15 // fourth point 0.95 13 // fifth point
example1.gri
の内容を対話モードで入力すると
出力ファイルは gri-nn.ps
のような名前になります。
もうひとつ Gri らしい例を見てみましょう。これは付属ドキュメントの 6: Contour Plots - 6.2: Ungridded data で解説されている例です。ランダムに分布する点 (x,y) の値 z に対して等高線を描きます。
$ gri example5.gri (ここですこし diagnostics が出ます) $ gv example5.ps
このデータは
example5.dat
です。
なお、冒頭に掲げたグラフ (のグレイスケールのもの) は、ドキュメントの 7: Image Plots で解説されています
man ページ、info および HTML によるドキュメントのほか、リファレンスカード
/usr/share/doc/gri-2.12.4/refcard.ps
およびコマンドリファレンス
/usr/share/doc/gri-2.12.4/cmdrefcard.ps
があります。
また /usr/share/emacs/site-lisp/gri-mode.el
も
インストールされます。Gri-mode についてはドキュメントの
12: Editing Gri Files in GNU Emacs
を見てください。
LinuxMLD 5,6,7 用の RPM
gri-2.12.4-1_mlb1.i386.rpm (1,929,512 bytes)
をインストールします。
rpm コマンドでインストールするにはスーパーユーザになって
# rpm -i gri-2.12.4-1_mlb1.i386.rpm
とします。
MLD 5,6 では
Gnome の GUI でインストールすることもできます。
RPM パッケージは Gri のホームページでも配布されていますが、 最近のバージョンでは RedHat 8/9 用になっていて MLD 5、6 ではインストールできません (MLD 7 ならインストールできます)。 また examples が含まれていないようです。
類似のソフトウェア
一般的なグラフ作成ソフトについては
gnuplot のページを参照してください。
地球科学関係でよく用いられているグラフィックプログラムにはつぎのようなものがあります。
メーリングリストの案内と、 入門ガイド、日本語マニュアルなどへのリンク集があります。
日本の地球流体関係者が長年にわたり蓄積してきた Fortran 77 ベースのグラフィック, 文字処理, 数値基礎処理ライブラリ。 スクリプト言語 Ruby から DCL を使ってデータの 解析・可視化を行う 電脳 Ruby プロジェクト も進められているようです。
松田さんの データの可視化と解析ツール のページでは、Gnuplot、GMT、Gri を含む様々なソフトに共通の図を描かせて比較されています。