Euler は 2D/3D グラフィックス機能を備えた、MATLAB に似た数値計算パッケージです。 区間演算 (interval) ができるのが特徴です。また Octave や RlaB に比べてコンパクトです。
(右図をクリックすると大きく表示します。)
作者: René Grothmann さん、Eric Boucharé さん
ホームページ:
http://euler.sourceforge.net/
バージョン: 1.60.6 (2002/08/03)
ライセンス: GPL
README を読む
付属ドキュメントを読む (ホームページと同内容)
Euler は最初 Grothmann さんによって Windows で開発され、
X Window 版を経てバージョン 1.59 から
Boucharé
さんによって
GTK+ 版に移植されました。
Grothmann さんによるホームページは
http://mathsrv.ku-eichstaett.de/MGF/homes/grothmann/euler/
です。
インストールしたら、適当なターミナル・エミュレータから
$ euler
で起動します。 2つのウィンドウが現れてメインウィンドウ (notebook) の方に 何行かのメッセージの後プロンプトが出てきます。
This is EULER, Version 1.60.6. Type help(Return) for help. Enter command: (8388608 Bytes free.) Utilities framed views Exact solver Remez algorithm Steffenson iteration Gauss integration Histogram plots Interval Solvers Broyden algorithm Minimization Nicer 3D plots Single Value Decomposition Tools Natural cubic and linear splines Statistical Functions >
ベクトルや行列の入力は次のようにします。
>x=[3,5] 3 5 >A=[2,3;5,6] 2 3 5 6
Octave などと同じですね。
最後にセミコロン ;
を付けると結果の表示をしないのも同じです。
でも + - * /
は要素ごとの演算になります。
>A+x 5 8 8 11 >A*x 6 15 15 30 >A*x' 6 9 25 30
行列としての乗算は .
です。
>A.x' 21 45
区間演算はこんな感じです。
>exp(~1.1, 1.2~) ~3,3.3~
チュートリアルを兼ねたデモが用意されています。
>load "demo"
として、出てくる説明にしたがってください。
>load "autodemo"
では自動でグラフィックスのデモが進みます (中断は ESC です。Error のメッセージが出ますが、Interrupt がエラー扱いになっているのです)。
終了するには File メニューから Quit を選択します。
このとき notebook を保存するかどうかのダイアログが出ます。
保存した notebook (拡張子は .en
) は
File メニューの Open で読み込むことができます
(内容が実行されるわけではありません)。
ファイルに書いたプログラムを実行するには起動時の引数で指定します。
Eulerプログラム・ファイルの拡張子は .e
です。
起動してからプログラムを読み込むコマンドは loadです。
このときのサーチパスはデフォルトでは .
(カレントディレクトリ) と、
/usr/share/euler/progs
になっています。
help コマンドによる内蔵のヘルプは十分とはいえないですが、 Help メニューの Documentation を選択すると HTML の詳しいドキュメント (ホームページと同内容) を閲覧できます。
LinuxMLD 5,6,7 でインストールできる
RPM パッケージは
Euler for GTK+ のホームページ
あるいは SourceForge の
プロジェクトページから
入手 (約 780 KB) できます。
rpm コマンドでインストールするには、スーパーユーザになって
# rpm -i euler-1.60.6-1.i586.rpm
とします。
MLD 5,6 では
Gnome の GUI でインストールすることもできます。
MLD 7
では、Help メニューの About で出る画面
(右図) が正しく表示されません。
Euler は、ロケール対応のアプリケーションではないので
(環境変数 LANG の設定とは無関係に)
C ロケールで動作するのですが、
説明文中の作者名のところに ASCII でない文字 é
が含まれていて、このために説明文全体が表示されないようです。
MLD 7 の gtk+ 1.2
ではロケールの文字セットにない文字は表示しないようになっているらしく、
いわゆる文字化けするよりは表示しない方がよいという考えなのでしょう。
でも C ロケールにまでちょっかいを出すのはやりすぎのような気もします。
最初の起動時に ~/.euler/euler.cfg
が作られて
デフォルトの初期化スクリプトが書き込まれます。
これを編集することでカスタマイズが可能です。
メモリーの割り当てはデフォルトでは 8 MB ですが、 Misc メニューの Preferences... で変更できます。
Euler の real は 8 バイトを占めますから 8 MB あれば 1000*1000 の行列がひとつ作れますが、例えば
>A=random(1000,1000);
とするためには2倍の 16 MB のメモリーが必要であることに注意してください。
Misc タブには ドキュメントを閲覧する HTML ブラウザの選択があります。
ブラウザのデフォルトは netscape になっています。
Preferences の内容は ~/.euler/eulerrc
に保存されます。
行列演算を中心とした数値計算パッケージについては Octave のページを参照してください。